icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻5号

2011年05月発行

文献概要

臨床報告

胃切除術後30年経過して発症した逆行性空腸重積の1例

著者: 猪川祥邦1 望月能成1 谷口健次1 越川克己1 横山裕之1 末永裕之1

所属機関: 1小牧市民病院外科

ページ範囲:P.663 - P.666

文献購入ページに移動
要旨

患者は59歳,男性.30年前に胃潰瘍に対して幽門側胃切除術の既往があった.2008年9月の夜間,突然の腹痛と嘔気を主訴に当院の救急外来を受診した.上腹部に腹膜刺激症状を伴う圧痛を認めた.腹部CTで左上腹部に同心円状の腫瘤陰影を認めたため腸重積と診断し,同日,緊急開腹術を施行した.開腹所見では胃はBillroth Ⅱ法,結腸前経路の再建であり,ブラウン吻合部より肛門側10cmの部位に逆行性に空腸が重積していた.用手的に還納が可能であった.重積先進部には重積の原因となる器質的病変は認められなかった.術後経過は良好で,第10病日に退院した.胃切除後の腸重積症は稀な合併症であるため報告した.

参考文献

1)成田 洋,船橋克明,吉冨裕久,他:術後腸重積症について―成人の1症例報告ならびに成人および小児開腹術後腸重積症の対比.日臨外医会誌 52:2125-2131,1991
2)Bozzi E:So di una rara complicanza consecutive a gastroenterostomia allo v. Hacker Boll Acad Med Genovi 122:3-4, 1914
3)小柳清次:腸管重積症の希有なる経過をとりし数例に就いて.北海道医誌 9:547-559,1931
4)高嶋成輝,大橋龍一郎,泉 貞言,他:胃切除後49年目に発症したBraun吻合部逆行性空腸重積症の1手術例.臨外 60:1201-1204,2005
5)松林 巌,長谷川純,小林秀雄,他:手術しないで整復しえた逆行性空腸胃重積症の1例.日臨外医会誌 45:208,1984
6)島田 守,山本紀彦,李 喬遠,他:内視鏡検査が誘因と考えられた胃切除術後の空腸胃重積症の1例.臨外 58:835-838,2003
7)金澤寛之,本坊健三,二渡久智,他:胃切除・Billroth 2法再建後に空腸残胃重積症様の所見を呈した1例.日消誌 101:734,2004
8)光岡正浩,田中喜久,納富昌徳,他:胃切除後腸重積によるイレウスの二例.日臨外医会誌 54:382,1993
9)高木浩一,森本敦子,吉村博英,他:胃切除術後逆行性腸重積症の1例.日本医放会誌 61:445,2001
10)須貝昌博,高橋則好,太田陽一,他:胃全摘術後の空腸重積症の再発例.山形病医誌 18:249-253,1984
11)石井保夫,小池太郎,清水俊栄,他:胃切除後にBraun吻合付近に3回の腸重積を発症した一例.日臨外会誌 63:523,2002
12)尾本 至,野間秀歳,野口智弘,他:胃全摘術後吻合部腸重積を繰り返した一例.日腹部救急医会誌 24,493,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?