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文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻5号

2011年05月発行

文献概要

臨床報告

巨大膿瘍を合併した尿膜管遺残症に対し腹腔鏡下に摘出した1例

著者: 羽田野直人1 今村祐司1 中光篤志1 香山茂平1 上神慎之介1

所属機関: 1マツダ病院外科

ページ範囲:P.687 - P.690

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要旨

症例は30歳,男性.数日前よりの下腹痛を主訴に受診された.初診時の血液検査で炎症反応の上昇を認め,精査加療目的に入院となった.入院後の腹部CTで下腹部に臍下から膀胱に連なる巨大な囊胞性病変を認め,尿膜管遺残症と診断した.まずは穿刺排膿および抗菌薬投与により炎症の沈静化を図った後,腹腔鏡下に尿膜管摘出術を施行した.膀胱側の処理などに工夫を必要としたが,大きな合併症なく手術は完遂できた.術後は良好に経過し,10日後に退院となった.本症に対する腹腔鏡手術は安全かつ有用であると思われた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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