文献詳細
臨床報告
同側乳腺に併発した広範に及ぶ非浸潤性小葉癌と限局した非浸潤性乳管癌の1例
著者: 阿部郁子1 日野眞子1 三浦弘善1 荒川敦2 齊藤光江1 霞富士雄1
所属機関: 1順天堂大学医学部乳腺内分泌外科学講座 2順天堂大学医学部人体病理病態学講座
ページ範囲:P.855 - P.859
文献概要
58歳,女性.マンモグラフィで右乳房CD領域に微小円形な石灰化の集簇と,乳房超音波で右乳房CD領域とD領域に辺縁不整な低エコー腫瘤を認めた.腫瘤の細胞診はいずれもclass Ⅴで,石灰化のマンモトーム生検で非浸潤性乳管癌と診断した.治療は石灰化と腫瘤を含む範囲で乳房円状部分切除,センチネルリンパ節生検を施行したが,迅速病理で切除検体の断端に広範に及ぶ癌細胞を認めたため乳房切除を施行した.術後の病理所見は大部分が非浸潤性小葉癌でpagetoid spreadもみられ,一部に非浸潤性乳管癌が併存していた.非浸潤性小葉癌の広がりについてはいまだ解明されておらず,自験例も示唆に富む症例であると考えられた.
参考文献
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