文献詳細
臨床報告
術後癒着による強固な腹痛に対して腹腔鏡下手術が奏効した1例
著者: 延原泰行1 西尾康平1 松岡順子1 松村雅方1 小山剛1
所属機関: 1明治橋病院外科
ページ範囲:P.965 - P.967
文献概要
患者は40歳,男性.上行結腸憩室炎を繰り返したため,腹腔鏡補助下右結腸切除術を施行した.術後に腹腔内出血をきたしたが保存的に軽快し,術後13日目に退院となった.しかし,退院後すぐに右下腹部に限局した腹痛を認めた.画像上,腸閉塞はなく,器質的な異常も認めなかった.腹痛は食事とは関係なく,体動時に増強した.痛みが強いときにはソセゴン®を使用したが,コントロールできなかった.患者本人と相談のうえ,11か月後に腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を観察すると,前回の小開腹創直下に小腸へ連なる索状物を認め,この部分が腹痛の原因と考えられた.そのほか腹痛の原因となるものは認めなかった.手術後は本人の訴えもなくなった.術後の強固な腹痛に対して腹腔鏡を用いて原因を同定でき,かつ解除できた症例を経験した.
参考文献
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