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短報
保存的治療で治癒した腸管気腫症を伴う門脈ガス血症の1例
著者: 永橋昌幸1 髙橋元子1 小野一之1 岡本春彦1 田宮洋一1 畠山勝義2
所属機関: 1新潟県立吉田病院外科 2新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器・一般外科学分野
ページ範囲:P.991 - P.993
文献概要
症例は72歳,男性.Lewy小体型痴呆があり,寝たきり状態であった.嘔吐,腹部膨満を主訴に受診した.腹部に軽度の圧痛を認めたが,反跳痛や筋性防御は認めなかった.腹部X線検査で,上部小腸はガスが充満し著明に拡張しており,腸閉塞と診断された.腹部造影CT検査で,門脈ガス像と腸管気腫を認めた.上腸間膜動脈に,明らかな血栓を認めなかった.非閉塞性腸管虚血と診断した.腸管気腫は上部小腸に限局しており,全身状態も安定していたため,保存的に治療する方針とした.2病日には,排ガスとともに腹部膨満は消失し,X線上の小腸の拡張ガス像は改善した.5病日に再検したCTでは,門脈ガスおよび腸管気腫は消失していた.41病日に退院した.
参考文献
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