icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻8号

2011年08月発行

交見室

主治医制について思う

著者: 出口浩之1

所属機関: 1ときわ病院外科

ページ範囲:P.1085 - P.1085

文献概要

 日本の病院においては長らく主治医制がとられてきた.その意義・目的は一般的につぎのように理解されている.一人の医師が(多くは)初診から検査,診断,治療方針の決定,入院治療,外科系ならば手術の術者,退院後の外来担当とすべての診療に責任を持ってあたることこそ患者に対しての礼儀であり,良質な医療の提供の根源となり,その結果,患者や患者家族との間に深い信頼関係が築かれる(根拠のない曖昧な楽観)ことになっているように思われる.

 しかし,そのためには,夜間・休日を問わず,ほぼすべての診療行為を主治医一人が行うことになり,時として肉体的精神的負担は限界に近づくことがある.また,すべての疾患が治癒するわけでもないし,すべての人が最大長寿を果たすわけでないという,きわめて常識的な問題もしばしばあらためて患者の家族に説明する作業まで引き受けざるを得ない.そのうえ,病院の方針によっては早出,居残り,当直などの時間外勤務を半ば強制されるため,勤務医は業務量軽減のためにもこの伝統たる主治医制を考える時期にきているのではないだろうか.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら