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文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻8号

2011年08月発行

文献概要

臨床報告

肝細胞癌副腎転移による後腹膜出血の1例

著者: 竹谷園生1 北川真吾1 長嶋和郎2 秦史壯3

所属機関: 1札幌東徳洲会病院外科 2札幌東徳洲会病院病理部 3札幌道都病院外科

ページ範囲:P.1123 - P.1125

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要旨

症例は61歳,男性.他院で肝細胞癌と診断され加療中であったが,激しい右背部痛にて当院に救急搬送された.CTで右後腹膜に造影剤の流出を伴う血腫を認めた.緊急手術を施行したところ右副腎腫瘍からの出血を認め,これを切除した.手術所見と病理所見より肝細胞癌の副腎転移と診断した.肝細胞癌の副腎転移は稀ではないが,転移巣より出血をきたすことは少ない.また,肝細胞癌の肝外転移は予後不良であるが,副腎単独転移症例は治癒切除により平均生存期間が延長するとの報告がある.本症例では出血と疼痛の制御のため緊急手術を施行した.その結果,治癒切除が可能であったので,文献的考察を交え報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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