文献詳細
臨床報告
Duct penetrating signを認め,腫瘤形成性膵炎との鑑別に苦慮した膵癌の1例
著者: 松本直基1 寺崎正起1 岡本好史1 鈴村潔1 田中顕一郎1 浅沼修一郎1 星昭二2
所属機関: 1静岡済生会総合病院外科 2静岡済生会総合病院病理部
ページ範囲:P.1132 - P.1136
文献概要
症例は66歳,男性.無治療の糖尿病,高血圧の既往あり.2か月で10kgの体重減少を主訴に受診した.CT上,膵頭部に造影効果の弱い腫瘤を認め,内視鏡的逆行性膵管造影(ERP)にて分枝膵管の描出と,主膵管が腫瘤を貫通するduct penetrating signを認めた.腫瘤形成性膵炎が疑われたが,腫瘍マーカーはその後も上昇するため,癌を否定できず幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理学的には副膵管領域主体の膵癌(中分化型管状腺癌)であり,随伴性膵炎による強い線維化が主膵管を圧排狭窄し,duct penetrating signを呈したと考えられた.
参考文献
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