icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科66巻9号

2011年09月発行

文献概要

Expertに学ぶ画像診断・7

画像強調観察:FICE(上部)

著者: 三宅一昌1 楠正典1 名児耶浩幸1 小高康裕1 進藤智隆1 植木信江1 河越哲郎1 二神生爾1 坂本長逸1

所属機関: 1日本医科大学消化器内科

ページ範囲:P.1230 - P.1235

文献購入ページに移動
はじめに

 内視鏡的粘膜下剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)の開発によって,より高い癌の完全切除率を得ることが可能となった.高い治療効果を得るには,より精度の高い内視鏡診断が求められるようになり,内視鏡機器は飛躍的な進歩を遂げている.特に,内視鏡画像の高画素化および拡大機能に加え,デジタル法や光デジタル法を代表とする画像強調法によって内視鏡イメージングは急速に向上している.

 デジタル法の1つであるflexible spectral imaging color enhancement(FICE)は2005年に三宅洋一教授(千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター)と故 神津照雄教授(千葉大学医学部光学診療部),フジノン株式会社(現 富士フイルム株式会社)によって共同開発された,分光推定画像を使用した画像強調内視鏡(image-enhanced endoscopy:IEE)である.今後,内視鏡の検査にFICEを併用することで,生検やルゴール散布などによる被検者への負担を最小限にとどめるとともに,より緻密な内視鏡診断(存在診断,範囲診断)が可能になるものと期待される.

 本稿では,このFICEによる上部消化管内視鏡検査における現状について述べる.

参考文献

1)三宅洋一:ディジタルカラー画像の解析・評価.東京大学出版会,2000
2)三宅洋一(編):分光画像処理入門.東京大学出版会,2006
3)Miyake Y, Kouzu T, Takeuchi S, et al:Development of New Electronic Endoscopes Using the Spectral Images of an Internal Organ. Proc. 13th CIC13, pp261-263(Scottsdale, 2005)
4)秋庭治男,南 逸司:新しい拡大内視鏡の機種と機能.早期大腸癌 9:131-134,2005
5)有馬美和子,有馬秀明,多田正弘:拡大内視鏡による分類 食道 微細血管分類.胃と腸 42:589-595,2007
6)大澤博之,阿治部弘成,吉澤充代,他:FICE併用経鼻内視鏡による胃癌の診断.消内視鏡 22:93-101,2010
7)井上晴洋,加賀まこと,南ひとみ,他:拡大内視鏡による分類 食道 IPCLパターン分類とECA分類.胃と腸 42:581-588,2007
8)Yao K, Anagnostopoulos GK, Ragunath K:Magnifying endoscopy for diagnosing and delineating early gastric cancer. Endoscopy 41:462-467, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?