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文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻10号

2012年10月発行

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あとがき フリーアクセス

著者: 渡邉聡明

ページ範囲:P.1348 - P.1348

文献概要

 ロンドンオリンピックでは,女子サッカーを始めとしていろいろな種目でメダルが期待されましたが,その中でも期待が大きかったのは男子体操でしょう.その期待の男子体操で,日本のエース内村航平選手が見事個人総合で金メダルを獲得しました.団体で金メダルを逃した後,いろいろと厳しい状況もあったと思いますが,それらを払拭した素晴らしい金メダルでした.これまで,東京オリンピックの遠藤幸雄選手をはじめ,ミュンヘンオリンピックでムーンサルト(月面宙返り)を初めて成功させた塚原光男選手,いまだに二人しか成し遂げていないオリンピック個人総合の2連覇を果たした加藤沢男選手など,日本は体操王国でした.その後しばらく活躍があまり目立たなくなった時期がありますが,現在は体操日本が復活しています.

 ロンドンオリンピックが始まる前,テレビで内村航平選手の特別番組を見ました.今回のオリンピックで初めて披露する予定の新技も紹介されていました.外国の選手に見られてしまったら当日不利では…とも思いましたが,あと2週間足らずでオリンピックが始まるという時点では,もう関係ないのでしょう.そんな中で印象深かったのは,彼のイメージトレーニングです.現在でも競技を行う前に右腕を動かしながらイメージトレーニングをしているそうですが,これは彼が小さい頃からやっていたといいます.彼が小学生の頃シドニーオリンピックが開催されましたが,この時の鉄棒技のコバチ(バーを越えながら後方二回宙返り懸垂)の話が印象的でした.彼は,シドニーオリンピックでコバチを成功させた外国人選手のビデオを何回も何回も,ビデオがすり切れるほど繰り返して見てイメージトレーニングをしたそうです.そして実際にそのイメージでコバチにトライしたところ,難しい技であるコバチを1回目で成功させたのだそうです.こんなイメージトレーニングが重要なのは,手術においても同じ気がします.特に腹腔鏡下手術では,術者と助手が全く同じ画面を共有できるという特徴があります.その動画を繰り返し繰り返し見てイメージトレーニングをすることにより,より効率的な手術手技の上達が可能になると思います.実際に,腹腔鏡下手術の経験が少なくても,画像を何度も見てイメージができている人は上達が早いと私自身も実感しています.やはりどの世界においても,「見る」ということは物事の基本であるとしみじみと感じます.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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