臨床外科67巻11号

2012年10月発行

1200字通信・45

ケモと現実―癌診療の現場から

著者： 板野聡¹

所属機関： ¹寺田病院外科

ページ範囲：P.249 - P.249

文献概要

　最近の癌に対する化学療法の進歩は凄まじく，医学史に残る出来事の1つとなると確信しています．そろそろ古手の部類に入る私などは，ケモが無力な時代を知っているだけに，まさに隔世の感がありますが，だからこそ，そうしたケモの進歩に伴う「陰」の部分も見え始めているということでもあります．

　実は，この10数年間，私自身もケモにかかわり，また，当院だけではなしにいくつかの施設の（古手の）先生方とお話しする内容から，薬代が高額であるとか副作用があるといった問題にとどまらない，「陰」の部分が見え隠れしていたのですが，最近になって，代表的な事案を経験することになりました．