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臨床報告
高度の瘢痕狭窄を残して治癒した肝膿瘍を伴うアメーバ性大腸炎の1例
著者: 坂井昇道1 王利明1 王恩1 帆足孝彦1 田中善壽2 柴田信博3
所属機関: 1野崎徳洲会病院外科 2野崎徳洲会病院病理科 3野崎徳洲会病院大腸肛門病センター
ページ範囲:P.1467 - P.1469
文献購入ページに移動症例は62歳,男性.入院1か月前に,粘液下痢便によるテネスムスと腹痛を主訴に当院の救急外来を受診した.直接鏡検法で便中に赤痢アメーバが確認されたため,アメーバ症の診断で緊急入院となった.大腸内視鏡検査と腹部造影MDCT検査から,アメーバ性肝膿瘍およびアメーバ性大腸炎と診断した.メトロニダゾールの経口投与により,臨床症状は消失し,便中のアメーバ原虫も検出されなくなった.治療終了1か月後,患者は腹部膨満を訴え再度来院し,上部直腸の完全閉塞と診断され,緊急的に2連式人工肛門造設術を施行した.狭窄部の組織生検では悪性所見はなく,アメーバも検出されなかった.患者は治療後36か月現在,狭窄部に変化はないものの日常生活に問題なく暮らしている.アメーバ性大腸炎治療後の高度の瘢痕性狭窄は非常に稀である.
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