文献詳細
特集 本当は怖い 臓器解剖変異―外科医が必ず知っておくべき知識
膵臓の解剖変異
著者: 千葉斉一1 佐野達1 富田晃一1 高野公徳1 河地茂行1 島津元秀1
所属機関: 1東京医科大学八王子医療センター消化器外科・移植外科
ページ範囲:P.1535 - P.1540
文献概要
◆〔動脈〕右肝動脈が上腸間膜動脈(SMA)の起始部から分岐し,膵頭部の背側を走行しながら門脈背側,胆管右側に沿って上行する症例がある.
◆〔動脈〕SMA本幹右側から第1空腸動脈(J1a)が分岐する亜型では,下膵十二指腸動脈(IPDA)と誤認してJ1aを処理してしまう可能性がある.
◆〔静脈〕胃結腸静脈幹(GCT)の上腸間膜静脈(SMV)への合流部における第1空腸静脈がSMA腹側を走行する場合には,SMA周囲操作の際に静脈損傷をきたさないように注意を要する.
◆〔静脈〕下腸間膜静脈(IMV)が脾静脈(SPV)へ直接流入する場合,門脈再建時にSPVを結紮切断したままでも胃のうっ血を回避できる.
◆〔膵管〕膵管非癒合を伴う膵頭部領域の癌では通常の膵頭部癌に比較して,Wirsung管領域の膵液うっ滞による腹側膵の膵炎が多いと推察されるため,術中の剝離操作において通常より出血などが起こりやすい.
◆〔膵管〕十二指腸乳頭部癌や膵IPMNに対する各種縮小手術において,術前に膵管非癒合を診断することは手術術式の立案に有用である.
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