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文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻13号

2012年12月発行

文献概要

臨床研究

当院における膵癌術中洗浄細胞診陽性例の検討

著者: 足立尊仁1 松井聡1 波頭経明1 山田誠1 松井康司1 伊藤元博1

所属機関: 1岐阜市民病院外科

ページ範囲:P.1563 - P.1566

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要旨

膵癌における腹膜再発率は17~41%とされている.当院でも23.3%の腹膜再発を認めている.当院で2007~2009年に切除された浸潤性膵管癌32例のうち,術中腹腔洗浄細胞診を施行した28例を対象に,腹膜転移と予後につき検討した.CY陽性例は7例(25%)であった.腹膜再発との相関については,単変量解析でCY(p=0.034)とRP(p=0.036)が有意差を認め,ly2(p=0.056),S(p=0.080)とR1,2(p=0.090)が有意な傾向を示した.多変量解析では,いずれの因子も有意差は認めなかった.予後との相関は単変量・多変量解析において,いずれの因子も有意差を認めなかった.CY陽性/陰性例の1年生存率は71.4/61.9%と有意差は認めなかった.切除可能膵癌におけるCY陽性例は,より進行した症例(fStage Ⅲ,Ⅳ)であるため独立した予後因子とはならなかったが,腹膜再発に対しては有効な予測因子となりうることが示された.

参考文献

1)帖地憲太郎,市倉 隆,間嶋 崇,他:腹腔洗浄細胞診陽性の消化器癌をどうするか.臨消内科20:213-218,2005
2)日本膵臓学会(編):膵癌取扱い規約 第6版.金原出版,2009
3)Clark CJ, Traverso LW:Positive peritoneal lavage cytology is a predictor of worse survival in locally advanced pancreatic cancer. Am J Surg 199:657-662, 2010
4)山田 豪,中尾昭公:腹腔洗浄細胞診―膵癌における腹腔洗浄細胞診の臨床的意義.胆と膵30:995-999,2009
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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