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文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻2号

2012年02月発行

文献概要

特集 肝胆膵外科手術における術中トラブル―その予防と対処のポイント 〔肝切除〕

肝脱転時の下大静脈および副腎からの出血

著者: 北順二1 窪田敬一1

所属機関: 1獨協医科大学第二外科

ページ範囲:P.176 - P.182

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【ポイント】

◆右副腎からの出血を防止するには,第一助手による肝右葉の脱転に過度の緊張がかからないように注意を促すことである.また,切離の前に副腎を囲むように下大静脈に沿い絹糸をかけておき,出血の際に結紮対応ができるようにしておくことも重要である.出血した場合は,縫合止血で対応することとなる.

◆下大静脈からの出血は,短肝静脈や下右肝静脈に対しての剝離が不十分で,かつ粗雑であることがほとんどである.丁寧な剝離と確実な縫合を行い,無用な出血を避けなければならない.

◆再肝切除症例や巨大腫瘍症例などでは,組織の硬さや視野確保に問題が生じるため,さらに高難度の剝離操作が要求される.

参考文献

1)中山壽之:副腎静脈の処理法.幕内雅敏,他(編):Knack & Pitfalls 肝臓外科の要点と盲点,第2版.文光堂,2006,p139
2)高山忠利:肝静脈処理のコツ.幕内雅敏,他(編):Knack & Pitfalls 肝臓外科の要点と盲点,第2版,文光堂,2006,pp140-143
3)Camargo AM, Teixeira GG, Ortale JR:Anatomy of the ostia venae hepaticae and retrohepatic segment of the inferior vena cava. J Anat 188:59-64, 1996
4)平井一郎,木村 理,村上 弦,他:短肝静脈と下大静脈靱帯の解剖.胆と膵 32:1071-1074,2011
5)伴 大輔,有井滋樹:【手術偶発症を減らす手技の工夫】肝切除.手術 64:1627-1635,2010
6)Belghiti J, Guevara OA, Noun R, et al:Liver hanging maneuver:a safe approach to right hepatectomy without liver mobilization. J Am Coll Surg 193:109-111, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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