icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻2号

2012年02月発行

文献概要

臨床報告

小腸転移により腸閉塞をきたした再発乳癌の1症例

著者: 池田宏国1 佃和憲1 浅野博昭1 内藤稔1 土井原博義1 三好新一郎1 伏見聡一郎2

所属機関: 1岡山大学病院腫瘍・胸部外科 2岡山大学病院病理部

ページ範囲:P.282 - P.286

文献購入ページに移動
要旨

症例は50歳,女性.45歳時に右乳癌に対し乳房温存術を施行(scirrhous carcinoma T2N2 Stage ⅢA)した.48歳時から骨転移があった.腹部膨満を主訴に他院を受診,回盲部の腫瘤性病変による腸閉塞症と診断され当院へ紹介され,同日緊急手術を行った.手術所見で回盲部に全周性の腫瘤性病変を認め,回盲部部分切除を行った.切除標本所見で病変部は粘膜下腫瘍様で,Bauhin弁を全周性に取り囲んでいた.病理組織所見で小腸の腸管壁内に漿膜下層と固有筋層を主体に乳癌細胞の浸潤を認めた.わが国における乳癌小腸転移に関する文献的報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.

参考文献

1)脇 直久,枝園和彦,前田宏也,他:イレウスで発症した乳癌小腸転移に対し手術を行った一例.外科治療 101:629-633,2009
2)内村正史,多羅尾信,宮本康二,他:腸閉塞にて発症した乳癌小腸転移の1例.日臨外会誌 70:1420-1424,2009
3)中村琢郎,阪本吾偉,北川知行,他:乳癌剖検例135例における臓器転移の検討.癌の臨 29:1717-1720,1983
4)座波久光,川上浩司,稲嶺 進,他:消化管穿孔をきたした乳癌小腸転移の1例.日臨外会誌 69:77-88,2008
5)山田好則,加藤雄治,中村理恵子,他:再発乳癌に対する化学療法中に穿孔性腹膜炎を発症した小腸転移の1例.日臨外会誌 69:1403-1407,2008
6)田村 光,杉浦功一,前田真悟,他:転移による直腸狭窄を伴った進行・再発乳癌(浸潤性小葉癌)の2例.日臨外会誌 66:41-45,2005
7)成田 洋,伊藤 誠,杉浦元紀,他:イレウスにて発症した乳癌小腸転移の1例.日臨外会誌 65:46-51,2004
8)中辻直之,杉原誠一,堀川雅人,他:乳癌小腸転移の1切除例.臨外 58:579-583,2003
9)田畑智丈,森浦滋明,小林一郎,他:イレウスにて発症して乳癌小腸転移の1例.日臨外会誌 64:594-597,2003
10)藤岡重一,寺田卓郎,菅原浩之,他:小腸転移により発見された乳癌の1例.日臨外会誌 63:2638-2641,2002
11)Hata K, Kitayama J, Shinozaki M, et al:Intestinal perforation due to metastasis of breast carcinoma, with special reference to chemotherapy. Jpn J Clin Oncol 31:162-164, 2001
12)坂東道哉,立山健一郎,角 泰廣,他:腸管転移をきたした乳癌の1例.日臨外会誌 60:50-55,1999
13)横井一樹,原田明生,矢口豊久,他:局所再発および肺,小腸転移を来した乳腺紡錘細胞癌の1例.日臨外医会誌 58:2529-2533,1997
14)津田基晴,池谷朋彦,中島邦喜,他:乳癌小腸転移によるイレウスの1手術例.臨外 52:409-411,1997
15)時田 博,安藤善郎,吉田典行,他:早期胃癌として手術した乳癌の胃および空腸への転移の1例.日臨外会誌 58:1488-1491,1997
16)片井 均,洪 淳一,和田徳昭,他:下血を主訴とし胃・小腸転移にて発見された乳癌の1例.日消外会誌 27:107-111,1994
17)笹橋 望,中島 晃,佐藤四三,他:消化管再発をきたした乳癌の1例.臨外 47:1249-1252,1992
18)日本乳癌学会:乳癌診療ガイドライン―薬物療法.金原出版,2010,pp2-56

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら