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臨床報告
結腸間膜穿通をきたしたS状結腸癌の1例
著者: 加藤久仁之1 大塚幸喜1 板橋哲也1 箱崎将規1 梅邑晃1 若林剛1
所属機関: 1岩手医科大学外科学講座
ページ範囲:P.436 - P.439
文献購入ページに移動患者は58歳,女性.腹痛を主訴に近医を受診し,大腸内視鏡検査でS状結腸に2型病変を認め,生検で高分化型管状腺癌と診断された.検査後に腹痛が増強し,注腸検査でS状結腸間膜側に造影剤の漏出を認めたため,大腸穿孔との診断で当科を紹介された.来院時の全身状態は良好であり,CT上も明らかなフリーエアや腹水を認めなかったため待機手術とした.腹腔内汚染は認めず,S状結腸切除術を施行した.標本では腫瘍に穿通部位を認めた.経過は良好で,術後12か月が経過した現在,外来通院中である.大腸穿孔は糞便性腹膜炎を伴い重篤な経過をたどることが多いが,自験例のように腸間膜へ穿通する症例は稀であり,腹膜炎を伴わない場合は術後経過は良好と考えられた.
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