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文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻6号

2012年06月発行

文献概要

臨床報告

横隔膜脂肪肉腫の1切除例

著者: 浅沼晃三1 栗原唯生1 重吉到1 井合哲1 市川辰夫1 石津英喜2

所属機関: 1埼玉協同病院外科 2埼玉協同病院病理診断科

ページ範囲:P.847 - P.851

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要旨

患者は52歳,男性.発熱と全身倦怠感で当院を受診した.解熱剤などの内服で経過観察したが改善せず,精査を施行したところ,CTで右肺から肝臓にかけて腫瘤を認めた.画像診断と穿刺生検で横隔膜周囲の肉腫と診断され,手術目的に外科へ転科した.右開胸開腹下に右肺下葉部分切除,横隔膜部分切除,肝部分切除を施行した.摘出標本では横隔膜中心に12×6×6cmの腫瘤を認め,術後病理所見から脱分化型脂肪肉腫と診断された.本症例は術後に右後腹膜,左傍腰椎,左骨盤内へと再発を繰り返し,そのつど摘出術と補助化学療法を行ったが,初診から約7年後に腹膜再発で永眠した.横隔膜脂肪肉腫はきわめて稀な症例である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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