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臨床報告
小児に発生した境界病変巨大葉状腫瘍の1例
著者: 北山輝彦1 篠原育代2 佐古達彦2 永田直幹2 實藤隼人3
所属機関: 1北九州総合病院乳腺外科 2北九州総合病院総合外科 3北九州総合病院病理部検査科
ページ範囲:P.1058 - P.1062
文献購入ページに移動症例は11歳の女児.1か月前に左乳房の母指頭大の腫瘤に気付いた.2週間で急速に増大し巨大腫瘤となったため近医を受診し,精査加療目的にて紹介受診となった.左乳房全体の大きさは12×10×9cmで巨大化を認め,発赤と疼痛を伴っていた.針生検にて葉状腫瘍と診断し,全身麻酔下に左乳腺腫瘍摘出術を施行した.摘出標本の肉眼所見は9.0×7.5×6.5cm,190gで割面は分葉状でほぼ均一な灰白色であった.病理組織学的所見では上皮細胞と間質細胞優位な両者の増生を認め,上皮細胞に異型は乏しいが間質細胞の核の腫大と少数の核分裂像を認め,境界病変型の葉状腫瘍と診断した.わが国において10歳台での良性乳腺葉状腫瘍報告例は散見されるが,第二次性徴期における悪性病変を含めた境界病変型の報告例は少なく,貴重な症例と考えられた.
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