icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻8号

2012年08月発行

文献概要

臨床報告

小児に発生した境界病変巨大葉状腫瘍の1例

著者: 北山輝彦1 篠原育代2 佐古達彦2 永田直幹2 實藤隼人3

所属機関: 1北九州総合病院乳腺外科 2北九州総合病院総合外科 3北九州総合病院病理部検査科

ページ範囲:P.1058 - P.1062

文献購入ページに移動
要旨

症例は11歳の女児.1か月前に左乳房の母指頭大の腫瘤に気付いた.2週間で急速に増大し巨大腫瘤となったため近医を受診し,精査加療目的にて紹介受診となった.左乳房全体の大きさは12×10×9cmで巨大化を認め,発赤と疼痛を伴っていた.針生検にて葉状腫瘍と診断し,全身麻酔下に左乳腺腫瘍摘出術を施行した.摘出標本の肉眼所見は9.0×7.5×6.5cm,190gで割面は分葉状でほぼ均一な灰白色であった.病理組織学的所見では上皮細胞と間質細胞優位な両者の増生を認め,上皮細胞に異型は乏しいが間質細胞の核の腫大と少数の核分裂像を認め,境界病変型の葉状腫瘍と診断した.わが国において10歳台での良性乳腺葉状腫瘍報告例は散見されるが,第二次性徴期における悪性病変を含めた境界病変型の報告例は少なく,貴重な症例と考えられた.

参考文献

1)日本乳癌学会(編):乳癌取扱い規約,第16版.金原出版,2008
2)Rajan PB, Carnor ML, Rosen PP:Cystosarcoma phyllodes in adolescent girls and young woman;a study of 45 patients. Am J Surg Pathol 22:64-69, 1998
3)Trifonov D, Aleksiev B, Sedloev T, et al:Phyllodes tumors of the breast. Khirurgiia(Sofiia)51:14-16, 1998
4)村上三郎,大久保雄彦,坂田秀人,他:内視鏡補助下に切除した若年性葉状腫瘍の1例.乳癌の臨16:641-646,2001
5)West KW, Rescorla FJ, Scherer LR, et al:Diagnosis and treatment of symptomatic breast masses in the pediatric population. J Pediatur Surg 30:182-187, 1995
6)武藤直子,坂元吾偉,秋山 太,他:11歳女児に発生した若年性線維腺腫.乳癌の臨12:134-137,1997
7)藤野昇三,手塚則明,一瀬増太郎,他:14歳女児に生じた巨大葉状腫瘍の1例.日臨外会誌60:1209-1212,1999
8)Reinfuss M, Miitus J, Duda K, et al:The treatment and prognosis of patients with phyllodes tumor of the breast. Cancer 77:910-916, 1996

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?