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文献概要
臨床報告
偽還納をきたした鼠径ヘルニアの1例
著者: 高塚聡1 山添定明1 池原照幸1
所属機関: 1大阪市立十三市民病院外科
ページ範囲:P.1071 - P.1074
文献購入ページに移動症例は69歳,男性.右鼠径部の膨隆を自己整復したのち,腹痛が続くため翌日当院を受診した.来院時,右鼠径部に膨隆は認めず,鼠径ヘルニアと診断して入院予約をして帰宅した.同日夜間より強い腹痛と頻回の嘔吐があるため翌朝当院を受診した.腹部X線でイレウス像を呈し,骨盤部CTで円形に拡張した小腸を認めた.内ヘルニアによる絞扼性イレウスと診断し,緊急開腹手術を施行した.膀胱右側の腹膜前腔に回腸が嵌頓したヘルニア囊を認め,偽還納と診断した.嵌頓腸管は壊死のため切除し,鼠径ヘルニアに対しては腹膜前腔にてポリプロピレンメッシュで修復した.鼠径ヘルニアの偽還納は比較的稀な病態であり,認識されていないことが多い.若干の文献的考察を加えて報告する.
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