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文献詳細

雑誌文献

臨床外科67巻9号

2012年09月発行

文献概要

臨床報告

門脈と下大静脈間の肝門部に再発した卵巣顆粒膜細胞腫の1例

著者: 小島正之1 杉浦芳章1 首村智久1 似鳥修弘1 別宮好文1 北島政樹1

所属機関: 1国際医療福祉大学三田病院外科・消化器センター

ページ範囲:P.1197 - P.1201

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要旨

症例は60歳,女性.2005年,左卵巣腫瘍の破裂で両側付属器・子宮全摘術を施行し,卵巣顆粒細胞腫と診断した.2008年,骨盤腔内に再発を認め,腹腔内腫瘍摘出を施行した.さらに,2010年に肝門部に下大静脈を背側に,門脈を腹側に圧排した80mm大の腫瘤を認めた.腫瘍の内腔は,囊胞成分と充実性成分の混在を認めた.以上より顆粒膜細胞腫の再々発と診断し,肝外側区域・尾状葉尾側切除で腫瘍を摘出した.病理所見では成人型顆粒膜細胞腫の転移と診断した.本邦報告例22例を検討すると,平均年齢59歳,初発から再発までの平均期間は14年で,腫瘍が破裂した7例はすべて播種性に再発を認めた.卵巣顆粒膜細胞腫は初発時より長期間の観察が必要だと考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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