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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻1号

2013年01月発行

文献概要

臨床報告

多発胃転移をきたした直腸印環細胞癌の1例

著者: 畠達夫1 鶴田好彦1 髙森繁1 宍倉有里2

所属機関: 1千葉徳洲会病院外科 2千葉徳洲会病院病理科

ページ範囲:P.89 - P.93

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要旨

患者は62歳,男性.直腸癌に対して腹会陰式直腸切断術を施行した.総合所見はRab,type 5,sig,pA,pN0,M0,pRM1,R1,CurB,StageⅡであった.術後にカペシタビンを6か月間内服したが,腫瘍マーカーが上昇傾向となったため全身精査を施行したところ,胃内に多発する粘膜下腫瘍を認め,生検で印環細胞癌が検出された.多発胃転移と診断し,FOLFIRI+ベバシズマブによる全身化学療法を開始した.いったん腫瘍マーカーは低下したが,その後,病状は急速に進行し,癌性腹膜炎で癌死した.文献的考察の結果では直腸原発の転移性胃腫瘍はきわめて稀で,その半数以上は印環細胞癌であった.予後はきわめて不良であり,胃切除による延命効果も明らかでなかった.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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