icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻1号

2013年01月発行

文献概要

ひとやすみ・94

輸血と献血

著者: 中川国利1

所属機関: 1仙台赤十字病院外科

ページ範囲:P.21 - P.21

文献購入ページに移動
 日本における献血制度は,1964年にライシャワー駐日アメリカ大使が暴漢に刺され,売血による輸血後肝炎を発症したことを契機に確立された.以後,手術を行うわれわれ外科医は大いなる恩恵を受けてきた.常日頃仕事で血液を使う立場で経験した,輸血に関連した話題を提供したい.

 今から35年ほど前の研修医時代のことであるが,交通事故で肝破裂をきたした患者さんが救急搬送されてきた.緊急手術を施行したら,腹腔内に大量の血液が貯留し,肝臓からの出血も続いていた.大量輸血が必要であったが,血液センターからの血液供給には限界があった.そこで外科のボスは,航空自衛隊基地がある町の知り合いの町長に直接電話を掛けた.その町長からの要請に応じ,深夜にもかかわらず制服姿の屈強な若者が100人ほど駆けつけてきた.われわれ研修医はベッドに2人ずつ寝かせ,200mLバッグに入るだけ採血した.そして,全血交差試験しただけで次々と手術室へ運び輸血した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?