臨床外科68巻11号

2013年10月発行

特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識 Ⅱ．胃・十二指腸

十二指腸腫瘍

著者： 山田豪¹ 小寺泰弘¹

所属機関： ¹名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学

ページ範囲：P.82 - P.86

はじめに

　近年，上部消化管内視鏡検査などのスクリーニング検査の増加に伴い，早期病変を含めた十二指腸腫瘍の頻度は増加傾向にあるといえる．十二指腸腫瘍としては，十二指腸乳頭部癌をはじめ，原発性十二指腸癌，Brunner腺由来の腫瘍，gastrointestinal stromal tumor（GIST），内分泌腫瘍などが挙げられる．これらの十二指腸腫瘍に対する外科的切除としては，十二指腸の解剖学的特性だけでなく，特に原発性十二指腸癌では取扱い規約やUICCのTNM分類が存在しないなどの理由もあり，個々の症例に対する適切な対応が必要とされる．

　一般的には，十二指腸における進行癌症例に対しては，膵頭十二指腸切除術（PD）が標準術式として選択される．低悪性度病変，粘膜下層までにとどまる早期癌症例に対しては，膵温存十二指腸切除術などを含めた縮小手術の適応も考慮される．

参考文献

1）飯塚敏郎，菊池大輔，布袋屋修，他：十二指腸病変に対するEMR，ESDの適応とその実際．Gastroenterol Endosc 53：87-94, 2011

2）Nakao A：Pancreatic head resection with segmental duodenectomy and preservation of the gastroduodenal artery. Hepatogastroenterology 45：533-535, 1998

3）Kimura W, Nagai H：Study of surgical anatomy for duodenum-preserving resection of the head of the pancreas. Ann Surg 221：359-363, 1995