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特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識 Ⅲ.小腸・虫垂・大腸
虫垂炎―小児
著者: 齋藤武1 照井慶太1 光永哲也1 中田光政1 大野幸恵1 小林真史1 秦佳孝1 笈田諭1 吉田英生1
所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院小児外科学
ページ範囲:P.114 - P.120
文献購入ページに移動対象が小児であるからといって,消化管の解剖が成人と大きく異なることはなく,成人の虫垂炎手術で留意すべき回腸終末から盲腸の正常構造や回結腸動静脈の走行・変異1)は,ほぼそのまま小児に当てはまる.ただし,小児虫垂炎の対象年齢は幅広く,診断・治療にあたっては年代特有の生理学的特徴や鑑別疾患の種類・頻度を理解し,肉体的にも精神的にも侵襲の少ない方法を選択する必要がある.専門的知識が乏しい状態で治療に介入すると,診断もしくは病勢の認識を誤ったり,合併症の対応に難渋したり,親とのコミュニケーション不足が生じたりすることがあり,成人虫垂炎治療の延長で小児を診るという姿勢は勧められない.
小児虫垂炎の疾患上の特徴として,成人例に比して虫垂壁が薄く大網が未発達なことから,発症後短時間で穿孔をきたしやすいとされている.ゆえに臨床経過と全身状態を的確に把握したのち,低侵襲な画像検査を迅速かつ効果的に行う必要がある.虫垂炎と診断されたら,その重症度を判定して手術適応を見極め,加えて手術時に必須の情報を拾い上げることが肝要である.
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