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特集 術前画像診断のポイントと術中解剖認識 Ⅳ.肝・胆・膵
脾臓疾患
著者: 河地茂行1 佐野達1 沖原正章1 高野公徳1 千葉斉一1 阿部雄太2 島津元秀1
所属機関: 1東京医科大学八王子医療センター消化器外科・移植外科 2慶應義塾大学外科
ページ範囲:P.235 - P.240
文献購入ページに移動脾臓疾患と一口に言っても,手術適応となる脾臓疾患は多彩である.悪性の脾腫瘍(原発性,転移性)は最もわかりやすい手術適応であるが,良悪性鑑別困難な脾腫瘍も手術されることが多い.門脈圧亢進症に伴う脾腫もインターフェロン治療の忍容性を高める目的に手術適応となり得るし,生体肝移植手術では血小板減少や門脈圧のmodulationのために脾臓摘出術(脾摘)が行われている.さらに特発性血小板減少性紫斑病(ITP),自己免疫性溶血性貧血,遺伝性球状赤血球症,SLEに伴う自己抗体関連の血小板減少症などの血液疾患も脾摘の良い適応と考えられている.
脾臓疾患に対する外科治療の大部分は脾摘である.小児の遺伝性球状赤血球症などに対しては,脾摘による免疫能の低下を危惧して脾臓の部分切除が行われることもあるが1),成人の脾臓疾患に関して脾摘以外の術式を施行することはほとんどない.近年,脾摘のほとんどが腹腔鏡手術のよい適応と考えられるようになった.腹腔鏡下脾摘術は1991~1992年にさまざまな国々で初例が施行されて以来,急速に普及し,現在は著しい凝固能異常や門脈圧亢進症とそれに伴う高度の側副血行路が形成されているような症例や長径が約25 cmを超えるような著しい脾腫を呈する症例以外は,腹腔鏡下脾摘術を第一選択としている施設が多いと思われる2).
本稿では,脾臓疾患の画像診断と,脾摘術,特に腹腔鏡下脾摘術の際に留意すべき画像所見について概説する.
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