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1200字通信・58
御守り―手術は祈りである
著者: 板野聡1
所属機関: 1寺田病院外科
ページ範囲:P.45 - P.45
文献購入ページに移動 少し前のことですが,実家の母が目の手術を受けることになりました.連絡をもらったときには,「数日の入院だし,手術もすぐ終わるとのことだから」の言葉に安心し,「胸や腹の手術ではないのだし,大丈夫だよ」と母にではなく自分に言い聞かせるように返答したことでした.最後に「気をつけて.僕は見舞いに行けそうもないけれど」と素っ気なく電話を切りましたが,手術の日が近づくにつれ,あれこれと心配が沸いてくることになりました.挙句,近くの神社にお参りに行き,初めて病平癒の御守りを求めることになりました.
自分は行く暇もなく,また郵送では無粋で,見舞いに行くと言ってくれた妻に,笑われるかなと思いつつも,その御守り袋を言付けることになりました.言付けながら,一方で「いっそ自分が執刀するのなら,御守りなんかいらないだろうに」などと独り言ちたわけですが,そんな強がりをいうわけにもいかず,妻によろしくとお願いすることになりました.手術当日,大丈夫と思ってはいても,「そろそろ始まっている頃かな」などと思いつつ外来を済ませ,早々に医局に戻って知らせを待つことになり,「俺もただの人の子だった」と改めて確認することになりました.
自分は行く暇もなく,また郵送では無粋で,見舞いに行くと言ってくれた妻に,笑われるかなと思いつつも,その御守り袋を言付けることになりました.言付けながら,一方で「いっそ自分が執刀するのなら,御守りなんかいらないだろうに」などと独り言ちたわけですが,そんな強がりをいうわけにもいかず,妻によろしくとお願いすることになりました.手術当日,大丈夫と思ってはいても,「そろそろ始まっている頃かな」などと思いつつ外来を済ませ,早々に医局に戻って知らせを待つことになり,「俺もただの人の子だった」と改めて確認することになりました.
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