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特集 漢方を上手に使う―エビデンスに基づいた外科診療
外科における漢方の現状と展望
著者: 宮崎勝1
所属機関: 1千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学
ページ範囲:P.1279 - P.1279
文献購入ページに移動 わが国においては,江戸時代の蘭方(学)に対して中国医学は漢方と呼ばれるようになり,100年以上が過ぎた現在,外科領域においても漢方の治療成績がエビデンスをもって報告されるようになってきている.
昭和51年(1976年)に漢方薬の薬価が初めて保険収載されるに至ってから37年が経つ.外科診療の日常臨床でよく知られるところとなった漢方薬は大建中湯,六君子湯,茵陳蒿湯,十全大補湯などが挙げられる.特に大建中湯1,2)や六君子湯3)の消化管蠕動促進効果は,開腹術後のイレウスを予防することがわが国より多く報告されており,欧米においてもその効果が期待され,現在臨床試験が進められているところである.また,茵陳蒿湯の閉塞性黄疸症例に対しての減黄促進効果も報告され4),様々な病態に対しての黄疸軽減効果が今後注目されてくるところであろう.
昭和51年(1976年)に漢方薬の薬価が初めて保険収載されるに至ってから37年が経つ.外科診療の日常臨床でよく知られるところとなった漢方薬は大建中湯,六君子湯,茵陳蒿湯,十全大補湯などが挙げられる.特に大建中湯1,2)や六君子湯3)の消化管蠕動促進効果は,開腹術後のイレウスを予防することがわが国より多く報告されており,欧米においてもその効果が期待され,現在臨床試験が進められているところである.また,茵陳蒿湯の閉塞性黄疸症例に対しての減黄促進効果も報告され4),様々な病態に対しての黄疸軽減効果が今後注目されてくるところであろう.
参考文献
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