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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻13号

2013年12月発行

文献概要

必見! 完全体腔内再建の極意・9

胃全摘術後再建―針糸による手縫い食道空腸吻合を用いた完全腹腔鏡下Roux-en-Y再建―“Back to the Suture”

著者: 稲嶺進1 間山泰晃1 卸川智文1 嘉数修1 春松敏夫1 金城省吾1 兼松恭平1 小倉加奈子1 砂川宏樹1 當山鉄男1 大城直人1 大田守雄1

所属機関: 1中頭病院外科

ページ範囲:P.1470 - P.1479

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■■はじめに

 胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術には多くの難所があるが,最大の難所はRoux-en-Y再建時の食道空腸吻合だと思われる.これまでリニア・ステイプラーやサーキュラー・ステイプラーを用いた様々な器械吻合が報告されてきたが,どの方法も一長一短があり,いまだ標準化には至っていない.腹腔鏡下手術においては,針糸による縫合や糸結びは難易度が高いとされ,その手技をいかに排除するかに力点が置かれてきた.しかし,針糸での縫合を避ける器械吻合を用いた術式も決して簡単とはいえず,ときに修復が容易でないトラブルに見舞われ,決してストレスから解放されることはなかった.

 われわれは,病的肥満に対するRoux-en-Y gastric bypassでの完全腹腔鏡下手術を2004年に導入し,その技術を胃癌手術にも応用してきた.そのモデルとなったKelvin D. Higaの腹腔鏡下gastric bypassの方法は,胃空腸吻合でステイプラーを使用せず,針糸のみを使用した腹腔鏡下手縫いで行うものであった1).同法での縫合不全はHigaらの報告と同様,われわれの経験でも皆無であり,食道空腸吻合も腹腔鏡下に針糸のみで施行可能ではないかと考えた.2010年より食道空腸吻合を腹腔鏡下に針糸のみで施行してきたが,これまで連続した30例で1例のリークも経験していない.様々な理由から,今では器械吻合よりもはるかにストレスの少ない吻合と考えている.

 本稿では,器械吻合時代から手縫い時代に至るまでの様々な経験から得られた,エラーの少ない手縫い食道空腸吻合を含む完全腹腔鏡下Roux-en-Y再建のコツを紹介したい.

参考文献

1)Higa KD, Boone KB, Ho T et al:Laparoscopic Roux-en-Y gastric bypass for morbid obesity:technique and preliminary results of our first 400 patients. Arch Surg 135:1029-1033, 2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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