icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻2号

2013年02月発行

臨床報告

乳癌との鑑別診断に難渋し,針生検所見を含めてlymphocytic mastopathyと診断した2例

著者: 手塚健志1 松村晃秀1 清水重喜2 北市正則2

所属機関: 1国立病院機構近畿中央胸部疾患センター外科 2国立病院機構近畿中央胸部疾患センター臨床検査科

ページ範囲:P.215 - P.218

文献概要

要旨

 症例は86歳と75歳の女性で,主訴はともに乳房腫瘤.理学所見上,乳癌との鑑別が困難であったが,どちらも針生検にてlymphocytic mastopathy (LM)と診断,その後外来経過観察をしているが特に腫瘤の変化は認められていない.今回われわれは,短期間に同疾患を2例経験し,実地臨床では比較的遭遇することが多い疾患と考えた.乳癌のような触診所見を呈し,エコーでは内部エコーが豹紋状であり,マンモグラフィではカテゴリー3の局所的非対称性陰影程度ならば,LMを念頭に置いてcore needle biopsy以上の過剰な検査を慎むべきと考えた.

参考文献

Pine Jr JW(ed):Biopsy Intertrepation of the Breast. Philadelphia, Wlater Kluwer/Lippincott Williamas & Wilkins, 2009, pp40-41
Pine Jr JW(ed):Rosen's Breast Pathology 3rd ed. Philadelphia, Wlaters Kluwer/Lippincott Wiiliams & Wilkins, 2009, pp 60-63
3)Schwartz IS, Strauchen JA:Lymphocytic mastopathy;an autoimmune disease of the breast? Am J Clin Pathol 93:725-730, 1990
4)Soler NG, Khardori R:Fibrosis disease of the breast, thyroiditis, and cheiroarthropathy in type Ⅰ diabetes mellitus. Lancet 1:193-195, 1984
5)田中屋宏爾,小長英二,竹内仁司,他:Lymphocytic mastopathyの1例.乳癌の臨15:721-724, 2000
6)迫 裕孝,奥川 郁,中村憲司,他:臨床的に乳癌との鑑別が困難であったlymphocytic mastopathyの1例.外科66:1089-1092, 2004
7)城田哲也,弥生恵司,植村 守,他:臨床的に乳癌との鑑別が必要なlymphocytic mastopathyの2例.日臨外会誌67:2012-2016, 2006
8)溝渕光一,村岡 篤,鶴野正基:Diabetic mastopathyとLymphocytic mastopathy.病理と臨床19:363-365, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら