文献詳細
臨床報告
胃癌副腎転移との鑑別が困難であり,再発と切除を繰り返した後腹膜脂肪肉腫の1例
著者: 多田耕輔1 西山光郎1 宮原誠1 久保秀文1 長谷川博康1 山下吉美2
所属機関: 1綜合病院社会保険徳山中央病院外科 2綜合病院社会保険徳山中央病院病理
ページ範囲:P.335 - P.339
文献概要
患者は66歳女性.胃癌手術後9か月目のCTで左副腎部に腫瘤を認め,胃癌の副腎転移と診断して癌化学療法を施行した.8か月後に腫瘍は著明に増大した.Progressive diseaseであったが単発性で,FDG-PET検査では副腎転移としては低集積であり,低悪性度の原発性病変も考えられたため手術を施行した.多形性脂肪肉腫と診断された.脂肪肉腫に対する治療の原則は外科的切除であり,完全摘出例の予後は良好とされる.また,再発腫瘍に対しても切除が基本とされ,本症例では3回の局所再発に対して切除を施行し,現在,再発なく経過観察中である.今後,症例の蓄積に伴い,効果的な術後補助療法の確立が望まれる.
参考文献
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