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臨床報告
胃癌腹膜播種によって発症した急性虫垂炎の1例
著者: 木村裕司1 岩川和秀1 早瀬良二2 大塚眞哉1 稲垣優1 岩垣博巳1
所属機関: 1国立病院機構福山医療センター外科 2国立病院機構福山医療センター婦人科
ページ範囲:P.340 - P.344
文献購入ページに移動悪性腫瘍の腹膜播種による虫垂炎の発症は非常に稀である.今回,胃癌腹膜播種によって発症した急性虫垂炎の1例を経験した.患者は41歳,女性で,前日からの発熱と下腹部痛を主訴に近医を受診した.腹部CTで卵巣腫瘍を指摘され,当院を紹介された.臨床所見では急性虫垂炎が疑われたが,CTでは明らかな虫垂炎所見は認められず,その一方で,胃壁肥厚と腹腔内脂肪織の毛羽立ちを認め,胃癌腹膜播種が疑われた.原因不明の腹膜炎の診断で緊急手術を施行したところ,虫垂中央付近に播種結節があり,先端部で強い炎症を起こしていた.播種巣が虫垂内腔へ浸潤し,閉塞したことで虫垂炎を発症したと考えられた.
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