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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻3号

2013年03月発行

文献概要

臨床報告

初回手術から12年が経過したのち乳房内再発を認めた乳腺アポクリン癌の1例

著者: 森至弘12 玉森豊1 大谷博1 東孝1 有本裕一1

所属機関: 1大阪市立住吉市民病院外科 2現籍:大阪市立総合医療センター消化器外科

ページ範囲:P.345 - P.348

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要旨

患者は75歳,女性.1998年6月に左A領域および左C領域の乳癌に対して左乳房部分切除術・腋窩リンパ節郭清を施行した.外来経過観察中の2010年10月に乳房切除断端部に腫瘤を自覚して来院した.CNBで乳癌と診断し,左乳房切除術を行ったところ,病理組織学的検査でアポクリン癌と診断された.前回手術時の標本と比較検討したうえで,乳房内再発と診断した.アポクリン癌とは乳癌のうち,アポクリン化生部分が優位を占めるものをいい,全乳癌のなかでは比較的稀な疾患である.通常型の乳癌より一般的に予後がよいとされているが,12年もの長期経過後に再発をきたすこともあるため,長期にわたるフォローが必要と考えられた.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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