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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻4号

2013年04月発行

文献概要

臨床報告

直腸瘤を合併した直腸脱の1例

著者: 山田英貴1 柴田佳久1 加藤岳人1 平松和洋1 吉原基1 夏目誠治1

所属機関: 1豊橋市民病院一般外科

ページ範囲:P.465 - P.468

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要旨

症例は77歳,女性.直腸脱の治療を希望して当科外来を受診した.精査にて直腸瘤を合併した直腸脱と診断した.直腸脱と直腸瘤の合併例は本症例を含めて4例しか報告されておらず,極めて稀と考えられた.直腸脱と直腸瘤は発症のリスクが異なっているため,それぞれの疾患に対する治療が必要と考え,直腸脱は開腹Wells法,直腸瘤はTVM(tension-free vaginal mesh)で治療した.術後経過は良好で,1年経過した現在,直腸脱・臓器脱の再発所見や腟・直腸のびらんは認めていない.しかし,メッシュによる合併症も報告されているため,厳重な経過観察が必要と思われる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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