文献詳細
臨床報告
NSAIDsの長期使用で隔膜様狭窄を呈する腸閉塞をきたした1例
著者: 吉野健史1 間中大1 濱洲晋哉1 坂元克考1 小西小百合1 西躰隆太1 安原裕美子2
所属機関: 1京都桂病院外科 2京都桂病院病理診断科
ページ範囲:P.469 - P.472
文献概要
今回われわれは,NSAIDs起因性と考えられる,小腸の膜様狭窄を伴う腸閉塞を認め,手術を施行した1例を経験した.症例は82歳,女性,他院に腸閉塞で入院後,当院へ紹介され,精査にて小腸閉塞を認め,開腹手術を施行した.小腸内腔に多発した隔壁を認め,約110cmの小腸を含む回盲部切除を行った.標本内に無数の膜様狭窄と閉塞を認めた.病理検査で特異的所見はなく,前医入院前にNSAIDsの長期服用歴を確認し,NSAIDs起因性の隔膜様狭窄症(diaphragm disease)と診断した.腸閉塞,腸炎などの腸管疾患の診療に際し,NSAIDs起因性腸炎も念頭に置き,診断・治療にあたることが重要と考えられた.
参考文献
掲載誌情報