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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻5号

2013年05月発行

文献概要

臨床報告

腹腔鏡併用により確定診断し大腿法で修復し得た鼠径ヘルニア術後大腿ヘルニアの1例

著者: 森永暢浩1 熊倉裕二1 小林力1 矢島俊樹1 設楽芳範1 石崎政利1

所属機関: 1公立藤岡総合病院外科

ページ範囲:P.617 - P.620

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要旨

患者は80歳,女性.左鼠径部の再発ヘルニアに対して腹腔鏡下の観察を行い,大腿ヘルニア単独と確定診断し,大腿法で修復した.術後瘢痕があり,術前の腹部CT検査では鼠径ヘルニア再発と大腿ヘルニアの鑑別が困難であった.腹腔内からの観察を併用することによって前回手術部の再発はないことが確認できたため,鼠径管への操作を行わず,大腿ヘルニアのみの修復法を選択できた.再々発を起こさないためには確実な補強が必要であることはもとより,手術操作で新たに脆弱な組織を作らないことが肝要と考える.腹腔鏡で観察することは,ヘルニア門とヘルニアサックの確実な識別を行い,最善の手術法の選択するために有効と考えられる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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