文献詳細
臨床報告
腹部鈍的外傷後の遅発性腸間膜裂孔ヘルニアの1例
著者: 鈴木茂貴1 唐崎秀則1 藤原康博1 松坂俊1 新居利英2 古川博之3
所属機関: 1社会福祉法人北海道社会事業協会富良野病院外科 2深川市立病院外科 3旭川医科大学外科学講座消化器病態外科学分野
ページ範囲:P.621 - P.624
文献概要
患者は24歳,女性.イレウスとの診断にて紹介され,入院となった.3年前に交通事故による腹部打撲,腹腔内出血に対して保存的治療を受けた既往があるが,開腹手術の既往はなかった.イレウス管による治療で症状は軽快せず,造影にて回腸の狭窄,途絶を認めたため手術を施行した.術中に回腸間膜裂孔への内ヘルニアを認め,腹腔鏡補助下にこれを解除し,裂孔を縫合閉鎖した.腹部鈍的外傷後に遅発性に発症するイレウスは,開腹歴のないイレウスの鑑別診断として念頭に置くべきである.症状が急速に悪化して腸管の壊死をきたす症例が報告されていることから,本疾患の臨床・画像的特徴を熟知し,手術の時期を適正に判断することが重要だと考えられた.
参考文献
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