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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻6号

2013年06月発行

文献概要

臨床報告

横隔膜穿破により喀血を呈した慢性膵炎の1例

著者: 石田順造1 岩佐真2 宗行毅2 保坂誠1 松島康1 冨田隆2

所属機関: 1鈴鹿回生病院呼吸器外科 2鈴鹿回生病院外科

ページ範囲:P.739 - P.743

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要旨

患者は55歳,男性.発熱の持続で当院内科を初診した.自己免疫疾患が疑われ,非ステロイド性消炎鎮痛薬が投与された.発熱は一時的に軽快したが,血痰が出現し当科を紹介された.精査中に大量喀血を認めた.病態把握に難渋したが,慢性膵炎急性増悪に伴う炎症が横隔膜を超えて肺内に波及し,喀血を呈したことが判明した.内科的な治療で喀血は速やかに軽快したが,血清アミラーゼ値の上昇が遷延したため,手術(膵体尾部切除+脾臓摘出+横隔膜穿孔部縫合)を行い軽快した.血痰,喀血は気道出血を示す徴候であるが,原因が特定されない場合は周囲臓器疾患からの2次的な症状の可能性についても検討する必要があると考えられた.

参考文献

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7)石川秀雄,長坂行雄:喀血を伴う疾患の発生メカニズムとその対処.LUNG 19:466-471, 2011

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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