文献詳細
文献概要
臨床報告
横隔膜穿破により喀血を呈した慢性膵炎の1例
著者: 石田順造1 岩佐真2 宗行毅2 保坂誠1 松島康1 冨田隆2
所属機関: 1鈴鹿回生病院呼吸器外科 2鈴鹿回生病院外科
ページ範囲:P.739 - P.743
文献購入ページに移動患者は55歳,男性.発熱の持続で当院内科を初診した.自己免疫疾患が疑われ,非ステロイド性消炎鎮痛薬が投与された.発熱は一時的に軽快したが,血痰が出現し当科を紹介された.精査中に大量喀血を認めた.病態把握に難渋したが,慢性膵炎急性増悪に伴う炎症が横隔膜を超えて肺内に波及し,喀血を呈したことが判明した.内科的な治療で喀血は速やかに軽快したが,血清アミラーゼ値の上昇が遷延したため,手術(膵体尾部切除+脾臓摘出+横隔膜穿孔部縫合)を行い軽快した.血痰,喀血は気道出血を示す徴候であるが,原因が特定されない場合は周囲臓器疾患からの2次的な症状の可能性についても検討する必要があると考えられた.
参考文献
掲載誌情報