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文献詳細

雑誌文献

臨床外科68巻8号

2013年08月発行

FOCUS

臨床外科領域における3D内視鏡システムの現況と今後の展望

著者: 大内田研宙1 剣持一1 橋爪誠1

所属機関: 1九州大学先端医療イノベーションセンター

ページ範囲:P.952 - P.958

文献概要

はじめに

 3D映像は,いまや世の中にあふれている.映画館や遊園地では3D映像を用いた作品やアトラクションが数多くみられるようになった.この種の3D動画は,飛び出してくる感覚が強調され,見る者に驚きを与えることが多い.

 医療界,特に内視鏡外科領域においても3Dスコープや3D提示装置の開発は数十年前から行われてきた.この領域においてもブームがあり,現在の内視鏡外科領域におけるブームも初めてではない.過去に内視鏡外科領域で開発された3Dシステムは一般的に普及するに至らなかった.これはなぜだろうか.様々な理由が挙げられるが,大きな理由が2つある.1つ目は解像度や色再現性,奥行き感など過去の3Dシステムによる3D動画の質の悪さと,それに起因する疲労感や違和感である.そして2つ目は,過去においては胆囊摘出術などのシンプルな手技しか必要としない手術がほとんどであったことにより,3D情報を必要とする局面がほとんどなかったことである.この2つの理由は,現在までに劇的に変化している.

 3D内視鏡システムは,近年の急速なテクノロジーの進歩により劇的に改善した.また,内視鏡外科手術の対象も胃癌や大腸癌,食道癌,肺癌など多くの癌が含まれるようになり,そのほとんどが今や保険診療として日常の診療のなかで行われている.この癌に対する手術の多くは緻密なリンパ節郭清や煩雑な再建手技を伴うものであり,この領域において3D情報はきわめて有用である.本稿では,臨床外科領域における3D内視鏡システムの現況と今後の展望について解説する.

参考文献

1)Ohuchida K, Kenmotsu H, Yamamoto A, et al:The effect of CyberDome, a novel 3-dimensional dome-shaped display system, on laparoscopic procedures. Int J Comput Assist Radiol Surg 4:125-132, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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