文献詳細
臨床報告
腹腔動脈起始部狭窄を伴う解離性腹腔動脈瘤の1手術例
著者: 諸久永1 福田卓也1 田山雅雄2 上原彰史3 大久保由華3 曽川正和4
所属機関: 1済生会新潟第二病院心臓血管外科 2済生会新潟第二病院救急科 3新潟大学医歯学総合病院心臓呼吸器外科分野 4県立中央病院心臓血管外科
ページ範囲:P.1127 - P.1131
文献概要
患者は62歳,男性.58歳時に直腸癌にて腹腔鏡補助下高位前方切除を施行され,60歳時のCT検査で腹腔動脈起始部の狭窄と内膜亀裂を指摘された.その後の経過CTで,狭窄部末梢から総肝動脈と脾動脈分岐部に及ぶ解離性動脈瘤径が急速に拡大したため,瘤切除と10mm人工血管を用いた腹腔動脈置換および左胃動脈再建を施行した.術後CTでは腹部臓器虚血や新たな瘤を認めず,再建グラフトは良好に開存していた.今後,画像診断の進歩から,無症候性腹部内臓動脈瘤の症例増加が見込まれるが,動脈瘤の形態,分枝血流状況,多発性の有無などを十分に精査して治療方針を決定すべきである.
参考文献
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