文献詳細
書評
―V・スザンヌ・クリムバーグ(編) 野口昌邦(訳)―乳腺外科手術アトラス フリーアクセス
著者: 丹黒章1
所属機関: 1徳島大学大学院・胸部・内分泌・腫瘍外科
ページ範囲:P.1132 - P.1132
文献概要
編者のProfessor Klimbergも序文で述べられているように,手術はどこで学んだかよりも,誰から学んだかが重要である.外科手技はアートであり,外科医の知識,判断と技術が一体となり,各操作を正確に行うことによってはじめて患者の福音となる手術が完成する.それゆえ,初学者は時間をかけて正確な手技を学ばなければならない.浮腫を予防するaxillary reverse mappingのほか,乳房縮小術,乳房切除術などのoncoplastic surgeryなどは日本からも大きく影響を受けていると編者は述べているが,誠に残念なことに,各章で引用された論文に日本発のものは極めて少ない.世界に通用する普遍性が求められている手術手技においても,乳癌先進国である欧米をはるか後方から追随しているのが現状であるにもかかわらず,“オレ流”が日本の学会では声高に論じられている.野口教授の懸念される“ガラパゴス化”を避けるためにも,日本のレジデントは本書で普遍的かつスタンダードな手技を学ぶ必要がある.
掲載誌情報