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臨床報告
狭窄をきたした卵巣癌術後放射線性大腸炎に合併したS状結腸同時性3重癌の1例
著者: 有吉要輔1 中西正芳1 村山康利1 栗生宜明1 小島治2 大辻英吾1
所属機関: 1京都府立医科大学消化器外科 2医療法人こじまクリニック
ページ範囲:P.1273 - P.1278
文献購入ページに移動症例は78歳,女性.主訴は下痢・排便障害.既往歴として38歳時に卵巣癌に対し手術および放射線治療(照射線量など詳細不明)を受けていた.便潜血陽性を指摘され下部消化管内視鏡を施行したところ,S状結腸に強い狭窄を認め,生検で腺癌が検出された.放射線性腸炎による狭窄に大腸癌が合併したものと診断し,腹腔鏡下ハルトマン手術を施行した.病理組織学的検査では2か所の2型病変と1か所の0-Ⅱa病変のそれぞれより腺癌を認め3重癌と診断した.背景粘膜は放射線性大腸炎の晩期像を示しdysplasiaなども認められた.骨盤内悪性腫瘍に対する放射線治療による放射線性腸炎は発癌の高リスクであり,厳重なフォローアップが求められる.
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