icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科69巻11号

2014年10月発行

増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル

フリーアクセス

著者: 小寺泰弘1

所属機関: 1名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学

ページ範囲:P.3 - P.3

文献概要

 術前術後の管理が外科医にとって重要であることは言うまでもありません.外科医は手術だけやっていればよいわけではないんだ,自分の手術の術後には責任を持つんだ等,誰もが先輩医師に耳にタコができるくらい聞かされた(あるいは聞かされている)ことと思います.というわけで,若いころに徹底的に叩き込まれた……ようでいて,実は細かいところまでわかりやすく教えてくれる先輩はおらず,麻酔学の成書で勉強したりもしました.もちろん,網羅的に勉強するのは時間的に不可能に近く,知りたいことがあったときにちょこちょこと調べる程度でした.その後,周術期管理は雑誌の特集号などで取り上げられがちなテーマであることを知り,当時出版されたものを勇んで購入した記憶もあります.しかし,私たちの世代の医師たちにとって,こうして身につけた管理法の多くが現在では時代遅れであったり,かえって行ってはいけないことであったりします.

 近年,手術手技は大きな発展を遂げましたが,周術期管理の進歩もまさに同様であり,ある項目は手術手技の進化と連動し,ある項目はこれとはまた別に独自に進化し,場合によりかつては周術期管理などと縁のなかったメディカルスタッフの協力も得て,手術後の短期成績を表す様々な指標の向上に寄与しております.例えば自動吻合器,縫合器の開発に伴う吻合の安全性の向上により,かつては1週間の局所の安静,減圧のうえで胃透視を行ってから経口摂取を許可するほど慎重に扱っていた食道空腸吻合部も,今や普通の消化管吻合部にすぎません.内視鏡外科手術の普及に伴う低侵襲性や消化管運動の早期の回復により,腹部手術の翌日には普通に歩いたり経口摂取を開始したりもします.周術期の徹底したリハビリは特に高侵襲な手術の術後の立ち上がりを大きく後押ししています.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら