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文献詳細

雑誌文献

臨床外科69巻11号

2014年10月発行

文献概要

増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル Ⅳ 術中・術後合併症とその管理 7.感染系・その他

DIC

著者: 増井亜紗実1 岩下義明1

所属機関: 1三重大学医学部附属病院救命救急センター

ページ範囲:P.342 - P.344

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最近の知見と重要ポイント

□DIC(disseminated intravascular coagulation)は早期治療が重要である.

□DICの治療で最も重要なのは,原疾患の治療である.

□遺伝子組み換えトロンボモジュリン製剤はDIC治療での有効性が期待されている.

 ▶これまでDICは,臨床症状や特異的凝固マーカーの推移などから診断し,治療を開始していた.しかし,病状が進行すると出血症状の増悪や多臓器不全に至ってしまい制御困難な状態になる.そのため,DIC治療では早期に診断して,治療を開始することが重要である.

 ▶現在DIC治療薬は抗凝固薬を主として数多く存在しており,抗凝固療法以外にアンチトロンビン製剤や抗線溶療法,血液補充療法などが存在する.これらの薬剤を用いたDIC治療戦略は国外のみならず国内でも意見の分かれるところであり,さらなる知見の集積が待たれるところである.ただ,凝固活性化の根本的な制御のためには基礎疾患の治療が最も重要であり,基礎疾患のコントロールなしには抗DIC治療薬は無効であることはほぼ一致した見解といえる.

 ▶これまで抗凝固療法の中心はヘパリンやヘパリン類などであったが,2008年にトロンボモジュリン製剤が発売となり,徐々に使用量が増えてきている.今後のDIC治療,特に敗血症性DICでの効果が期待されている.

参考文献

1)丸山征郎,坂田洋一,和田英夫,他:科学的根拠に基づいた感染症に伴うDIC治療のエキスパートコンセンサス.日本血栓止血学会学術標準化委員会DIC部会.血栓止血誌20:77-113, 2009
2)Saito H, Maruyama I, Shimazaki S, et al:Efficacy and safety of recombinant human soluble thrombomodulin (ART-123) in disseminated intravascular coagulation:results of a phase Ⅲ, randomized, double-blind clinical trial. J Thromb Haemost 5:31-41, 2007
3)Wada H, Thachil J, Di Nisio M, et al:Guidance for diagnosis and treatment of disseminated intravascular coagulation from harmonization of the recommendation of three guidelines. J Thromb Haemost 11:761-767, 2013
4)Warren BL, Eid A, Singer P, et al:Caring for the critically ill patient. High-dose antithrombin III in severe sepsis:a randomized controlled trial. JAMA 286:1869-1878, 2001
5)Kienast J, Juers M, Wiedermann CJ, et al:Treatment effects of high-dose antithrombin without concomitant heparin in patients with severe sepsis with or without disseminated intravascular coagulation. J Thromb Haemost 4:90-97, 2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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