icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科69巻11号

2014年10月発行

文献概要

増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル Ⅱ 併存症を持つ患者の評価とその術前・術後管理 2.呼吸器疾患

慢性閉塞性肺疾患

著者: 茂木晃1 東陽子1 桑野博行1

所属機関: 1群馬大学大学院病態総合外科

ページ範囲:P.52 - P.55

文献購入ページに移動
最近の知見と重要ポイント

□慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,「タバコなどの有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患で,呼吸機能検査で正常に復すことのない気流閉塞を示す.気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に作用することにより起こり,進行性である.臨床的には徐々に生じる体動時の呼吸困難や慢性の咳,痰を特徴とする」と定義されている1)

□COPDは呼吸器疾患であるが,虚血性心疾患,糖尿病,骨格筋の萎縮,悪液質,骨粗鬆症,うつ病など,多くの全身徴候や併存疾患との関連が深い2,3)(図1).

□COPDは心疾患と並ぶ術後合併症発生・術後死亡率の独立リスク因子であり4),ERAS実践のためにはCOPDを全身性疾患と捉えた包括的な周術期管理が重要である.

参考文献

1)日本呼吸器学会COPDガイドライン第3版作成委員会(編):COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン,第3版,メディカルレビュー社,2009
2)Decramer M, Janssens M, Miravitlles M:Chronic obstructive pulmonary disease. Lancet 379:1341-1351, 2012
3)Decramer M, Rennard S, Troosters T, et al:COPD as a lung disease with systemic consequences-clinical impact, mechanisms, and potential for early intervention. COPD 5:235-256, 2008
4)Marc L, Alexandre S, Christoph E, et al:Perioperative medical management of patients with COPD. Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2:493-515, 2007
5)Nakagawa M, Tanaka H, Tsukuma H, et al:Relationship between the duration of the preoperative smoke-free period and incidence of postoperative complication after pulmonary surgery. Chest 120:705-710, 2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?