文献詳細
増刊号 ERAS時代の周術期管理マニュアル
Ⅱ 併存症を持つ患者の評価とその術前・術後管理 3.肝疾患
ウイルス性肝炎
著者: 荒川悠佑1 島田光生1 石川大地1 斉藤裕1 岩橋衆一1 池本哲也1 居村暁1 森根裕二1 宇都宮徹1
所属機関: 1徳島大学消化器・移植外科
ページ範囲:P.64 - P.67
文献概要
□B型慢性肝炎に対する抗ウイルス治療では,インターフェロン,エンテカビルによる治療方法に大きな変化はないが,HBe抗原の有無のみならず,ALT値および肝線維化の有無により,その適応が細かく分類されたことに留意が必要である.
□C型慢性肝炎に対する治療では,治療抵抗性であったgenotype 1,高ウイルス量に対してテラプレビルを使用した3剤併用療法が適応となった.さらに,2014年5月より副作用が少なく,より高いSVR率をもつシメプレビルが使用可能となった.
□術前栄養管理に関して,慢性肝炎症例では耐糖能異常を合併することが多く,安静時エネルギー消費量が亢進し,蛋白・エネルギー栄養障害を呈しやすいことが報告されている.このため術前・術後の絶食は飢餓状態を引き起こすことから,できだけ避けることが望ましい.さらにlate evening snack(LES)などを導入し,分枝鎖アミノ酸製剤を眠前に投与することで,飢餓状態を予防し栄養状態を改善する.
参考文献
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