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文献詳細

雑誌文献

臨床外科69巻12号

2014年11月発行

特集 外科切除適応の境界領域—Borderline resectable cancerへの対応

Editorial

がんにおける外科的切除適応の境界領域

著者: 新木健一郎1 桑野博行1

所属機関: 1群馬大学病態総合外科学

ページ範囲:P.1299 - P.1299

文献概要

 がんに対する外科治療の成績は,手術手技の進歩に加え,診断技術,周術期管理,集学的治療などの発展に伴い飛躍的に向上してきた.このようながん治療の発展により,多くのがんで切除による長期成績が改善され,がん治療においてわれわれ外科医が活躍する場はますます広がってきている.

 近年種々のがんにおいて,局所進行症例すなわち切除適応の境界領域といえるような症例に対しても,外科的切除によって予後が得られるかという議論が盛んに行われている.とりわけ膵癌におけるborderline resectable cancerという概念は,膵臓外科領域において難治癌かつ切除率の低い通常型膵管癌の切除適応を広げ,長期成績を改善させようと議論されている分野である.わが国においても,腹腔動脈や上腸間膜動脈に一部浸潤するような境界領域症例に対して術前の化学療法や化学放射線療法を行うことにより,R0切除率を高め,良好な予後を得ようとする試みが各施設でなされている.米国包括的がんセンターネットワーク(NCCN)ではborderline resectable膵癌の定義を定めているが,この定義によるとわが国では切除可能な膵癌が多数含まれることになり,より緻密な診断と切除適応,集学的治療によってさらに優れた長期成績を得られる可能性があり,わが国から世界へ発信できる治療戦略の確立が期待されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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