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文献詳細

雑誌文献

臨床外科69巻2号

2014年02月発行

特集 ディベート★消化器・一般外科手術―選ぶのはどっちだ!

一般外科手術 テーマ7◆鼠径ヘルニアに対するアプローチ

鼠径ヘルニアに対するアプローチ:「鼠径法」の立場から

著者: 伊藤契1

所属機関: 1NTT東日本関東病院外科

ページ範囲:P.200 - P.204

文献概要

 成人鼠径部ヘルニアに対する術式としては,前方アプローチによる鼠径法を選択する.第1選択:通常の還納可能な症例は大小を問わず,局所麻酔下・鼠径法・腹膜前腔修復(ヘルニア門のサイズにより変更あり).第2選択:還納不可能ないしは嵌頓緊急症例は,腰椎麻酔下ないし全身麻酔下・鼠径法・腹膜前腔修復(状況により変更あり).第3選択:再発還納可能症例は,局所麻酔下・鼠径法・腹膜前腔を意識した修復.ただし,どの場合も高度肥満などのときは,全身麻酔下での鼠径法を考慮する.

 そのメリットは,①すべての鼠径部ヘルニアの,どのような状況に対しても対処可能である.②ヘルニアの状況を把握して,全体像を把握した解剖学的アプローチが可能である.③近年の高齢患者,有リスク患者の増加を考えると,鼠径法かつ局所麻酔下の根治手術は低侵襲である.④医療コスト面でのパフォーマンスに優れる.

 鼠径法のデメリットは特にないと言える.詳細な膜構造の解剖を云々する議論はあるが,全身麻酔を要する腹腔鏡下手術は,決して低侵襲とは言い切れない.鼠径法は,習得すべき基本術式であり,かつ最終的解決法である.

参考文献

1)European Hernia Society Home Page:www.herniaweb.org〔http://www.herniaweb.org/fileadmin/downloads/library/EHS_Guidelines.pdf〕
2)伊藤 契,小西敏郎:局所麻酔下鼠径ヘルニア手術―膨潤麻酔法(tumescent anesthesia)の紹介.手術59(別冊):263-275,2005
3)伊藤 契,針原 康:鼠径ヘルニア手術のクリニカルパスとコスト.臨外63:1391-1397,2008
4)伊藤 契:【次代の外科専門医をめざしたトレーニングシステム】各論 鼠径ヘルニア.臨外68:1182-1189,2013

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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