文献詳細
必見! 完全体腔内再建の極意・16
噴門側胃切除術後再建―ダブルトラクト再建・空腸間置
著者: 木下敬弘1 榎本直記1 砂川秀樹1 高田暢夫1 芝崎秀儒1 西田俊朗1
所属機関: 1国立がん研究センター東病院胃外科
ページ範囲:P.866 - P.872
文献概要
噴門側胃切除は上部早期胃癌に対する機能温存手術として広く認知されている.再建法に関しては,①様々な逆流防止策を加えた食道残胃吻合を行う術式,②間置空腸を置いて逆流を防ぐ食道空腸吻合を行う術式,に大別されるがいずれも腹腔鏡下に行うにはそれなりの技術が必要である.また以前より幽門側胃を残すことのメリットに関して異議を唱える外科医も少なくなく,これらの理由から腹腔鏡下噴門側胃切除(LPG)は広く普及するには至っていない.しかし臨床的には噴門側胃切除で,驚くほどの高い食生活のQOLが保たれる症例を経験するのも事実である.また2014年4月からはLPGが保険収載されるという追い風もある.
本稿では当施設でLPGの標準的再建法として行っているダブルトラクト再建(図1)を図説する.同法は腹腔鏡下胃全摘(LTG)の再建ができれば,「プラス1吻合」で行える.さらに食道逆流はかなり高確率に防止できる,残胃癌が発生した場合の再手術が比較的容易,というメリットもある.また後半では以前行っていた空腸間置再建(図2)に関しても簡単に紹介する.
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