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臨床報告
炎症性乳癌と鑑別を要した巨大増殖性筋炎の1例
著者: 山内希美1 松友将純1 田中卓二2
所属機関: 1関中央病院外科 2東海細胞研究所
ページ範囲:P.889 - P.892
文献購入ページに移動症例は84歳,女性.右乳房と上肢の腫脹・疼痛を主訴に受診した.右乳腺は固く発赤と高度の腫脹を認め,胸筋に固定し圧痛が強かった.超音波検査では右乳腺広範囲に筋層との境界が不明瞭で内部に紐状の高エコーを伴う低エコーの巨大腫瘍性病変を認めた.CT検査では右乳房深部に腫瘤形成と斑状の高吸収域を認め,内部に出血を示唆した.大胸筋との境界は不明瞭で,炎症性乳癌の大胸筋浸潤もしくは大胸筋原発の炎症性腫瘍が疑われた.皮膚や肋骨への浸潤は認めなかった.超音波ガイド下針生検による病理診断で増殖性筋炎と診断された.増殖性筋炎は悪性疾患と鑑別を要する疾患であり,誤診されると広範囲切除,放射線照射,化学療法など過剰な治療を施行される可能性があり診断には十分な注意が必要である.過去に乳房に関連した増殖性筋炎の報告は3例のみであり,自験例のような巨大病変の報告例はなく極めて稀な症例と思われたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
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